平田 治 |
【脱線】 では、勝手で引くことを中心に考えた射法もあっていいじゃないか?
結論 いきなり結論ですが、和弓ではちょっと難しい(珍しい)技術ではないでしょうか。
考察 まず、和弓は押手の作用抜きに矢をまっすぐ飛ばすことは無理です。勝手中心という事は、この押手の力(角見)を失わないよう、弓に押し返されないために突っ張る力の一部として扱う事になると思います。 ただ、精度をあまり問わない状況、いわゆる速射と言う技法(実戦用法)の中の一定条件下ではその可用性があると思います。 速射とは主に「鞆」という弓具を用い手首の所で強制的に弦を止めて弓返りを止め、とにかく矢数を打ち出す技法ですが、これには弓構や打ち起しどころか型そのものがなく、放てば即、離れの真っ直ぐ伸ばした押手の位置から番えて引き。を繰り返すそうです。(いつどのように引き分けても同じように引き納められる技量が前提) ここまでなると兜口止めの速射は勝手中心の(勝手で的中を制御する、引く動作が狙いを兼ねる)射法と言われても仕方が無いかもしれません。(あくまで類推による心当たりです。この場合も「私はやっぱり押手で」と言うヒトには勝手主導の射法はありえないと言うことでしょう) 河毛先生は晩年、日露戦争で知ったマシンガンの様に、高速に矢を射る射法を研究されていたと聞きます。私は拝見したことはありませんが ひょっとすると、これは相当するかもしれません。(マシンガンとまではいかなくとも、弓で「掃射」をするその様は壮観だったでしょうね) |