平田 治 |
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では実際に龍之口をやってみましょう
一般的に龍之口(の古流射法)を聞いたことがある方は、龍之口経験者の方に「無理やり骨格を矯正して… (ベキベキッ) 」と昔話がてらに脅かされていて、いざ「やってみましょう」と言われると腰が引けてしまうかもしれません。 しかし、理屈を知った上で入ると、この射法は特に無理のある体型を取るわけでもなく、コツを覚えれば、形にたどり着くのはまず難しくありません。(当たるかどうかは二の次です)勿論、骨格は人により千差万別ですので、本当に出来ない方がごく少数おられますのはご容赦願います。
まず、弓を持たずに勝手の形からやってみましょう。 勝手の特徴としては「小指をつける」だけですが、弓を持たない状態であっても(ゆがけをつけない時はそれほど無理ではなくても)ゆがけをつけただけで、もうすでに難しいはずです。 また、両者を自分の視点から見ると、これぐらいの違いがあります。
では、弓を持ち、手順に沿って解説していきます。 まず、胴造り、弓構え、打起し
については特に注意点として上げるものはありません。均等射法と同じです。あえて上げるとすれば、会において平付けに引き納めるため、取り掛けはいつもより少し深めの方が安心かもしれません。(慣れてくると通常の位置でも問題ありません)
また、もう1つ引き分ける時に注意が必要な事として肩の動かし方があります。説明すると、押手を下筋で弓を押して行くのに合わせ、1.押手の肩を下げ、つれて 2.勝手の肩を引き上げる ように引いて来る事、弓を引いていくに従い 3.押手の肩を控え、4.勝手の肩を(小指を乗せる台を作る気持ちで)ちょっと突き出し加減にする ことです。これを一度に(立体的に)行うと、押手の肩を斜め後ろに控えつつ、勝手の肩を斜め前に突き出す ことになります。 均等射法からの変更方法としてみると、かなりへんてこな射法に感じますが、慣れた人用の表現では「引分けは勝手の肩を支点にして下筋から弓を押していけ」で、体は自然と三角射法の形を取ります。しかし、旧時では当たり前すぎて気が付かない事なのか弓書には「大鳥が羽を広げる様に…」など、現在の射法にも適う表現が使われています。要は両手とも過不足なく力を釣り合せる事がベストなのは今も昔も共通ということでしょう。 勝手についてはここでもう1つ、ちょっとしたコツが必要です。先ほど弓を持たない時に行う場合の話で触れた勝手の手首を肩に引き付けるの要領で、手首を支点に掌を肩の方に寄せ、肘先を均等射法のそれより前下方に下げる事。 次に、三角射法は均等射法より少し引き過ぎが適当な矢束です。これによって始めて小指が肩の一番高いところに届き、安定します。
離れについては、ことさら注意点を申し上げるまでも無いでしょう。慣れない事ですので顔や耳を打たないように気をつけてください。離れの時、勝手の自由度がなく、とても離れにくい事を実感して頂けることと思います。 |
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